7.赤伝処理(建設業法第18条、第19条、第19条の3、第20条第3項)

【建設業法上違反となるおそれがある行為事例】
①元請負人が、下請負人と合意することなく、下請工事の施工に伴い副次的に発生した建設廃棄物の処理費用、下請代金を下請負人の銀行口座へ振り込む際の手 数料等を下請負人に負担させ、下請代金から差し引く場合
②元請負人が、建設廃棄物の発生がない下請工事の下請負人から、建設廃棄物の処理費用との名目で、一定額を下請代金から差し引く場合
③元請負人が 元請負人の販売促進名目の協力費等 差し引く根拠が不明確な費用を下請代金から差し引く場合
④元請負人が、工事のために自らが確保した駐車場、宿舎を下請負人に使用させる場合に、その使用料として実際にかかる費用より過大な金額を差し引く場合
⑤元請負人が、元請負人と下請負人の責任及び費用負担を明確にしないままやり直し工事を別の専門工事業者に行わせ、その費用を一方的に下請代金から減額す ることにより下請負人に負担させた場合

上記①から⑤のケースは、いずれも建設業法第19条の3に違反するおそれがあるほか、同法第28条第1項第2号に該当するおそれがある。
また、上記①のケースについて、当該事項を契約書面に記載しなかった場合には建設業法第19条、見積条件として具体的な内容を提示しなかった場合には同法 第20条第3項に違反する。

赤伝処理とは、元請負人が
① 下請代金の支払に関して発生する諸費用(下請代金の振り込み手数料等)
② 下請工事の施工に伴い副次的に発生する建設廃棄物の処理費用
③ 上記以外の諸費用(駐車場代、弁当ごみ等のごみ処理費用、安全協力会費等)を下請代金の支払時に差引く(相殺する)行為である。

(1) 赤伝処理を行う場合は、元請負人と下請負人双方の協議・合意が必要
赤伝処理を行うこと自体が直ちに建設業法上の問題となることはないが、赤伝処理を行うためには、その内容や差引く根拠等について元請負人と下請負人双方の 協議・合意が必要であることに、元請負人は留意しなければならない。

(2) 赤伝処理を行う場合は、その内容を見積条件・契約書面に明示することが必要
下請代金の支払に関して発生する諸費用及び下請工事の施工に伴い副次的に発生する建設廃棄物の処理費用について赤伝処理を行う場合には、元請負人は、その 内容や差引額の算定根拠等について、見積条件や契約書面に明示する必要があり、当該事項を見積条件に明示しなかった場合については建設業法第20条第3項 に、当該事項を契約書面に記載しなかった場合については同法第19条に違反する。
また、建設リサイクル法第13条では、建設副産物の再資源化に関する費用を契約書面に明示することを義務付けていることにも、元請負人は留意すべきである (4ページ「2-1 当初契約」参照 。)

(3) 適正な手続に基づかない赤伝処理は建設業法に違反するおそれ
赤伝処理として、元請負人と下請負人双方の協議・合意がないまま元請負人が一方的に諸費用を下請代金から差引く行為や下請負人との合意はあるものの、差引 く根拠が不明確な諸費用を下請代金から差引く行為又は実際に要した諸費用(実費)より過大な費用を下請代金から差引く行為等は、建設業法第18条の建設工 事の請負契約の原則(各々の対等な立場における合意に基づいて公正な契約を締結する )を没却することとなるため、 。 元請負人の一方的な赤伝処理については、その情状によっては、建設業法第28条第1項第2号の請負契約に関する不誠実な行為に該当するおそれがある。な お、赤伝処理によって、下請代金の額が、その工事を施工するために「通常必要と認められる原価 (10ページ「3.不当に低い請負代金」参照)に満たない金額となる場合には、元請下請間の取引依存度等によっては、建設業法第19条の3の不当に低い請 負代金の禁止に違反するおそれがある。

(4) 赤伝処理は下請負人との合意のもとで行い、差引額についても下請負人の過剰負担となることがないよう十分に配慮することが必要
赤伝処理は、下請負人に費用負担を求める合理的な理由があるものについて、元請負人が、下請負人との合意のもとで行えるものである。元請負人は、赤伝処理 を行うに当たっては、差引額の算出根拠、使途等を明らかにして、下請負人と十分に協議を行うとともに、例えば、安全協力費については下請工事の完成後に当 該費用の収支について下請負人に開示するなど、その透明性の確保に努め、赤伝処理による費用負担が下請負人に過剰なものにならないよう十分に配慮する必要 がある。
また、赤伝処理に関する元請下請間における合意事項については、駐車場代等建設業法第19条の規定による書面化義務の対象とならないものについても、後日 の紛争を回避する観点から、書面化して相互に取り交わしておくことが望ましい。



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